山北町は面積の92%を森林が占めるなど、緑あふれる街です。町役場から車を数十分走らせれば大自然の中にNPOの「共和の森」が立地しています。もともとは小学校の跡地だったところを改装し、今では木のぬくもりを感じる新たな交流施設と様変わりしました。
 台所を覗いてみると、地元住民の方々がせっせと昼食の準備をしてくれています。なかでも梅を丸ごと使用した「梅ジュース」は絶品です。「この梅は食べられるんだよ」と教えていただき、梅を一気にかじってみましたが、意外と酸味は抑えられ、しかし甘味は存分に感じられる、ちょうどいい味わいでした。
 「共和の森」はただの改装施設ではありません。この建物が中心となり、地域のコミュニティをつなげる重要な役割を果たしています。
「共和の森」は山に囲まれていますが、課題は山積です。森を林業家の冨田陽子さんが案内をしてくれましたが、木材を十分に活かせていない現状があります。町の92%を森林が占めているだけあって、なんだか勿体ない気もしました。一方で、ヒノキやスギといった日本人に馴染みのある木材は、様々なところで多用されています。
 先ほど紹介した「共和の森」でも、ヒノキの木目がはっきりと表れていたときは、なんとも言えない安心感に包まれました。
 緑に囲まれながら賑わいをもたらす山北町にぜひ行ってみてください。

(下平啓介)